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易学の学習

このページは、波木星龍占い師さんと、天野雲海の共同著作です。

 

■運命学の目的

 運命学は、本来国を治める政治家、会社を治める経営者が用いる帝王学です。 実際、決してお遊びで使うようなものではなく、実は上場企業の役員や政治家の 中にも運命学を利用して方針決定をしている人は多くいらっしゃいます。日本で は、徳川家康の参謀だった天海上人、米国ではレーガン元大統領夫人が、古代中 国では各時代の皇帝(またはその軍師)が運命学の達人だったことは、有名な話 です。運命学を正しく使えば、自分の天命が分かります。そして決して人生に迷う ことはありません。自分の天命と個性を知れば、生き方と目標が必ず見えてきま す。以上のように、運命学の正しい知識と使い方を世界に広めることを第一位の 目的としています。

■運命学の種類

 世界には、西洋占星術、インド占星術、中国占星術と色々と存在します。当社で はこれらの世界の占星術全てを取り扱い、ソフトウエアの開発をしていますが特 に力を入れているのが中国占星術と西洋占星術です。中国占星術というと四柱 推命が有名ですが、四柱推命はそのうちの”命”という分野を扱う占術です。しか し中国占星術は、実はもっと広範囲に術が開発されていて大きく分類すると「命・ 卜・相・医・山」の5種類に分類できます。一般には馴染みがない言葉ですが、これ を”五術”と呼び、下記の5つの分野から構成されています。

●命(めい)

 人の宿命・運命を占う分野--四柱推命・紫薇斗数推命・宿曜占星術(密教)・六 壬推命・遁甲推命

●卜(ぼく)

 人が関与する事柄の吉凶を占う分野--奇門遁甲・六壬占卜・五行易・周易・梅 花心易・干支秘法

●相(そう)

 目に見える相を占う分野--姓名判断・印鑑相・人相・手相・墓相・家相・風水地 理学

●医(い)

 鍼・漢方などの医の分野

●山(ざん)

 呼吸法・体操などの肉体の修練の分野

 

 ここで、皆さんに注意していただきたいことは、本商品の「易學プロ版」という のは、「卜(ぼく)」の分野であるということです。つまり、人間の宿命とか性格と いった生まれ持ったものを鑑定するという目的の占術ではありません。 あくまでも今の時を易神に問い、その回答を頂く技術として理解して下さい。

人間の宿命や性格といったものに関しては、生年月日から占う四柱推命・紫薇斗数推命の方 が圧倒的に優れているのです。なぜ、生年月日から占うものの方が優れているか といえば、人間が生まれた時の太陽や月などの惑星の位置と地球との位置関係 から占っているからだといえます。太陽なくしては地球は存続できませんし、月なくして女性の生理もありえません。

そういった意味からも人間の宿命や性格を占う場合には、四柱推命・紫薇斗数推 命の方が圧倒的に優れているという理論的な根拠があります。

 ここまでの説明でお分かりだと思いますが、自分が生まれ持った宿命を本ソフ トや卜(ぼく)の分野の学問で診断することはできません。有名な高嶋易などの広 告宣伝を見ていると、まるで宿命が分かるような記述もあるのですが、これは易 學と同時に他の占術もあわせて使っているものと推測されます。


■易學は誰が発明し・どのように発展していったのか?

 易とは四書(大学、中庸、論語、孟子)五経(易経、書経、詩経、春秋、礼記)の筆頭 におかれるもので、今より約6000年前の石器時代の後期中国の帝王によって始 められたもので古代中国は易によって国家を治めてきたと言われています。

 また今から3500年前に、”酒池肉林”という言葉を生み出した悪名高い”殷国の 紂王”を滅亡させたのが周国の創立者の”文王”です。この文王が現代の易をつ くったのです。ですから八卦のことを文王八卦と言うのです。またこの文王は十 干十二支をまとめ60進法を作り出し、現在の暦をつくった王としても有名です。

つまり分かりやすく言えば、原始四柱推命をつくった王でもあるのです。易のこ とを”周易”とも言うのは、この周の文王がつくったことを意味しているのです。 この周という国は”孔子”が理想とした国家であり、刑罰がない歴史上稀に見る国 であったことが知られています。孔子が易経を重要視したのもここにその根本が あるのです。

 しかし、時代が流れて漢の時代になってくると帝王学としての易よりも吉凶を 占う占い的意味合いの強い理論が開発されましたがこれが”断易”であり”五行 易”とも言います。ですから、五行易を使う目的は、吉か凶を決定することだけに ありますので、細かい象意などは不要な理論なのです。どのように良いとかどの ように悪いといった細かい内容よりも吉凶を”断”する学問として発展したので す。ですから断易とも言うのです。

 一方で宋の時代になると比較的平和な世の中になってきましたので、単に吉凶 を占うのではなく、相性や仕事の判断など”心”の分野にも使われるようになって きましたが、こういった目的で発展してきたのが”梅花心易”なのです。

 そして本ソフトは、この3ツの易學の全てをサポートしているのが特徴です。

■占い方(占筮法)

 本来は、八面体のサイコロ2コと、六面体のサイコロ1コを使って、今から占う内 容を明確にしてサイコロを振って易の卦を出すのです。しかし、本ソフトではコン ピュータを使用し、半自動的に易の卦を決定するようになっています。この占い 方は実に色々あり、占い師によってもさまざまです。台湾ではお米の粒を使って やる方もいますし、コインを使ってやる方もいれば、竹を使ってやる方もいます。 またサイコロでも数値が書いてあるサイコロを使う方もいます。また、周易と五行 易でサイコロの使い方を変えている場合もあります。

 どれが正しくてどれが間違いというのはありませんが、一度自分のやり方を決 定したら、そのやり方をずっと継続して変えないというのが易神に対する作法の ようです。やり方を頻繁に変えるようでは、易神も正しく回答を出してくれない と言われています。

 もっとも、本ソフトのサイコロ自動回転機能を使う限りはこういった心配は無用 です。サイコロを振るのは自分の持っているサイコロでやって、解釈だけは本ソフ トを使う場合には、上記の内容に注意して下さい。


■陰陽の基本・・・運命学を学ぶ前にあたっての注意事項

 陰陽については、市販の本でも随分詳しく述べてあるのですが一番根本のこ とについて書かれたものは見当たりません。単に+-を表現したものでもなく天地 を表現したものでもなく男女を表現したものでもなく、強弱を表現したもので もありません。

こういったデジタル式の解釈ではなくアナログ的な理解ができな いと易學はもちろん、四柱推命も風水も全ての運命学の学問の根本理念を理解 することはできないでしょう。人間という存在はデジタルではなくアナログの存在なのですから陰陽の理解もアナログ的に理解しなければなりません。

 では陰陽の根本とは何でしょうか? ここでは簡単に言いますが陽とは、精神 であり、精神は本質であり、人間で言うと心・主体であり、家庭でいうと主体の大 黒柱の人間のことであり、会社でいうと創業理念を最も体得している人のことを 言います。

本来はこういった人間は家庭であれば男性であり、会社であれば経営 者なので”陽”と分類するのです。ですから大黒柱になれない男性は”陽”ではあ りません。企業理念のない経営者は”陽”ではありません。

十干十二支でいうと十干が陽であり主体です。では陰の根本とは何でしょうか? 陰とは現実であり、お金であり、生活であり、家庭でいうと衣食住の生活を守る対象に分類できる人間のことであ り、会社でいうと現実の処理を行う社員のことをいいます。十干十二支でいうと 十二支が陰であり対象です。

 一度教科書的な理解を超えて、こういった考え方で自分なりの易の解釈、自分 なりの十干十二支の解釈を出発してみることをお勧めします。そうすれば、教科 書の呪縛から解き放たれ、本当に実生活で使える真の運命学が身につくことで しょう。

 

■ソフトの操作の仕方

易學とは、自分が占いたいことを明確にして、その答えを易神に問うという ものです。その回答が64種類の易卦のいづれかで返ってくるわけです。この64種 類の易卦はどんな卦がでようとも落胆することはありません。人生は吉もあれば 凶もあり、自分が今その64種類のリズムの中でどういったポジションにいるのか を明確に知ることが一番重要なのです。

自分の現時点でのポジショニングが分 かれば、引くべき内容は引いて、進むべき内容は進めて、待つべき内容は待つと いった対応をすれば良いのです。この64種類の解釈の方法には、古典的な周易そ して戦乱の世で作られた吉凶だけを明確に知る断易(五行易)、平和な世で作ら れた梅花心易という3つがあるのですが、本ソフトはそのいづれにも対応してい ます。

では、どうやって易神から回答を得るのか、その操作方法から説明します。

1.64卦の決定

 これから占いたいことを易神に問うわけですが、その問い方には2種類の方 法があります。

 1ツはコンピュータに自動的にサイコロを回させて(回転するムービーが表示 されます)、停止のタイミングを人間(あなた自身)が決定するやり方です。

 もう1ツは、8面体と6面体のサイコロを所有していらっしゃる方で、自分の所有 するサイコロを実際に使って、卦を決定するやり方です。8面体のサイコロは通常 のデパートなどでは販売していないようです。易の専門店で購入すると良いで しょう。

 1.1 自動サイコロボタンを押す

コンピュータが自動的にサイコロを回転させます。停止のタイミングをユー ザーが決定しなければなりません。適当な時間をおいてから、決定ボタンを押し て下さい。これだけで卦と動爻が決定されます。

 

 1.2 手動サイコロボタンを押す

8面体と6面体のサイコロを所有していらっしゃるユーザは、最初に8面体のサ イコロを振って下さい。最初に出た目が外(上)卦になり、画面の該当するサイコ ロボタンを押して下さい。もう1回振って出た目が内(下)卦になります。画面の該 当するサイコロボタンを押して下さい。

最後に6面体のサイコロを振って動爻を 決定します。画面の該当するサイコロボタンを押して下さい。8面体でも数字の書 いてあるサイコロをお持ちの場合は、数字を「乾兌・・」に直して選択して下さい。

以上で 占いたい内容の結果が64卦のいづれかで易神から示されたと判断 します。それでは、次に結果の解釈の仕方について説明します。

2.解釈の仕方

2.1 古典的解釈

 初期画面は古典的な周易の解釈を説明しています。非常に抽象的な文章になっ ていますが、これは中国の原本(易経)がそうなっているからです。これを現代風 に解釈したい場合は、「周易詳細解説」ボタンを押して下さい。

 

2.2 五行易解釈

 「五行易解釈」ボタン  を押します。

 すると用神決定画面が表示されます。一般に自分のことを占う場合と自分以外の ことを占う場合で、用神が世爻になるのか、応爻になるのかが別れます。

 用神の種 類には、細かく言えばもっとあるのですが、あまり細かい用神設定をしても実際 の解釈に無理が発生する場合が多いのです。従って、本ソフトでは、世爻か応爻か のいづれかで用神を決定するやり方になっています。

 五行易は別名”断易”といわれる位に、吉と凶だけを決定する易です。従って、ど のように良いとかどのように悪いとかといった象意はありません。10点の大吉な のか5点の平なのか、1点の大凶なのか? といった吉凶をはっきりと結論づける ための易なのです。

 この判断には、日晨と用神との五行的関係が一番重要です。次に月建と用神と の五行的関係が重要です。

 この2つで吉凶が決定されると理解しても大きな間違 いはありません。この吉凶がどの程度なのかは、グラフで表示されています。10点 が最大の吉。1点が最大の凶という目盛りになっていますので、ここで吉か凶を見 ます。凶だからどうしたらいいのか?といった対策の言葉やアドバイスは周易の ようにありません。決定するだけです。

 また、用神を剋すものが、忌神で、用神を生じるものが原神なのですが、忌神と 原神が実際にはどのような内容なのかは、忌神と原神ボタンを押すことによっ て説明画面が表示されます。

    

2.3 梅花心易解釈

 「梅花心易解釈」ボタンを押します。

この画面が一番色々な分野の文章表示ができる画面になっています。またこの梅 花心易に関しては、波木星龍先生から原稿を頂き、開発しております。

  2.4 生卦

以上で解釈は、十分なのですが決定された64卦には、これが元になって生じる 卦が色々とあります。それを参照したい場合には「生卦」ボタンを押します。

それぞれの4ツのボタンのいづれかを押すと卦が変化することもありますし、し ない場合もあります。ここは参照程度に見ると良いでしょう。

 

■■誰にでもできる「心易(しんえき)」の秘法

 あなたは、「心易」という占いを見たり聞いたり体験したりしたことがあるで しょうか。この本を手にした多くの方は、「心易」いう占いの存在事体を知らな かったことでしょう。一般に”易占い”として知られている「易」は筮竹(ぜいちく) による「周易」か、サイコロによる「五行易」です。ここで紹介する「心易」は、誰に でもすぐに始められるのが第一の特徴です。さらに、周易も五行易も難しい倫理 を覚えないと解釈できないのが、心易では判断がすぐにできます。

■あなたの悩みを「心易」が解決する

 人は誰でも悩みながら生きて行きます。悩まずに生きた人などおりません。

 日常のささいな悩みから、人生を左右する進学、就職、恋愛、離別、結婚、病気、 転職、金銭、対人、相性などさまざまな出来事や問題に出会うたびに悩むもので す。 悩むということは、それだけ自分の人生を大切に生きようとしていること の証明であって、最初からどうでも良いのなら悩んだりする筈がありません。

 それら個々の悩みに対し、未来をも見透す角度から適切なアドバイスや解決 策を授けてあげようとしたのが本書です。つまり、あなたが実際に悩みを抱えて、 占い師である私の元を訪れたとき答えるであろう内容のエッセンスが封じ込ま れてあるのです。ページ数の関係から、すべての悩みを扱うことはできないの で、これまでの経験から相談内容として圧倒的に多かったいくつかのテーマだけ を取り上げてあります。

 「心易」は、心の易なので特に精神的な迷いや悩みに対して、スバリと的確なア ドバイスを与えてくれます。ただ、占う前に最低限、知っておいて欲しい事だけは 書いてあります。悩むたび何度も何度も占いながら、いつ間にか「心易」の知識が 身に付き、自分ばかりではなく、身近な人たちの悩みさえも解決できる能力が備 わって行くことでしょう。

■中国宋代に発明された百発百中の点

 占いの種類は実にさまざまです。 四柱推命(しちゅうすいめい)、西洋占星学、 タロット、易占(えきせん)、風水、手相、姓名判断、九星気学、奇門遁甲(きもんとん こう)、紫微斗数(しびとすう)、水晶球占い、数霊判断、さらには話題の「動物占 い」・・・・・と細かく数え上げればキリがありません。

 「心易」はこの中の”易占”に属 します。この「心易」の生みの親は、中国の宋代(そうだい)に活躍した邵康節(しょ うこうせつ)という易占家です。そのし邵康節が或る日、庭に出て梅を見ている と、その木にやって来た二羽雀が互いに枝を争っている内に地上に地上に墜ち てしまいました。奇妙に思った彼はすぐにその時の日時で易の掛爻を組み立て、 側にいた家族の者に「明日の晩、若い女性が梅の花を折っても叱りつけてはいけ ないよ」と注意を与えておきました。その予言通りに、翌日の夕方になって隣家の娘がやってきて木に登り、過って梅の花を折ってしまいました。

 ところがそれを見 つけた門番は前日の話を聞いていなかったので娘を大声で叱りつけました。あわ てた娘はバランスを失い、地上に滑り落ちて股の部分を怪我をしてしまいまし た。心易による判断は恐ろしいまでに的中したのです。 

 この予言エピソードが、 後に「梅花心易」という名称を生み出したのです。もちろん、これ以外にも邵康節 の占断例はいくつも伝えられています。

 或る日、彼は路上で知人の老人に出会ったのですが何かしら元気なく見えまし た。そこで訊ねてみると、本人も理由はよく判らないが落ち込んでしまうことが 多いというのです。不思議に思って易の卦爻を組み立てた邵康節は「あなたは今 後五日間、用心に用心を重ねて、ひたすら謹慎しなければいけません。そうでなけ れば禍いがあなたを脅かすでしょう」と注意しました。

 「どんな禍いですか?」との 問いに、「魚に関する禍いです」とだけ答えました。老人は魚釣りが好きだったの で五日間はどこにも出かけないようにしました。ただ五日目に親戚の婚礼があっ て出席し、御祝いの御馳走にあずかって魚を喰べ、その骨がのどに突き刺さった のが元で亡くなりました。

 また、或る日、牛の哀しそうな鳴声を聞いて卦爻を組み立て、「この牛はこれか ら二十一日の間に必ず屠殺されてしまうだろう」と予言しましたが、果して二十日 の後に地主がやって来てこの牛を買い、その日の内に屠殺し、これを料理して、 自分の使用人たちの労をねぎらったということです。

 

■易占の方法には「周易」「漢易(五行易)」「宋易(心易)」がある

 ”易占(えきせん)”の総称で知られる占い方法には、中国の古代王朝である周 王朝成立全後に体系化された「周易(しゅうえき)」と、前漢王朝に流行した「漢易 (かんえき)」と、宋王朝期に至って出現した「宋易(そうえき)」とがあります。

 「漢 易」は、別名「五行易(ごぎょうえき)」とも「断易(だんえき)」とも呼ばれて現代日 本でも用いられている易占法ですが、「心易」または「梅花易数」とも呼ばれる「宋 易」の方は一般には普及していません。そこでどうしても”易占”といえば、「周易」 と「漢易」のふたつだけであるかのように誤解されてしまうのです。

 その周易と漢易との違いは、簡単にいえば、周易が”象(かたち)”と”辞(こと ば)”を重視して判断を行うのに対し、漢易の方は”干支”と”五行”を重視して判 断を行っている点にあります。占いの答えを求める方法として、周易では”筮竹” が、漢易では”サイコロ”が、日本では主として使用されています。

 宋易である「心易」は、易そのものの解釈には、周易の”象”や”辞”を用いること が多いのですが、漢易の“五”作用も加えた独特の判断方法となっています。

 これまでにも易占に関する入門書は沢山刊行されていますが、”卦爻の求め方” という点で躓(つまず)いている書物が少なくありません。簡

 易な筮竹やサイコロ を附録とした入門書もありなしたが、本来、易用具は商価なものなので貧弱な印 象がぬぐえません。”擲銭法(てきせんほう)”といって10円玉や100円玉の硬貨を 使って、その裏表を陰陽に当てはめ卦爻を求めようとした本もあります。

 これは中国で古代から存在した卦爻の求め方のひとつですが、その際に用いる硬貨は、 本当は”四角い穴の開いている硬貨”でなければならないのです。自然界の原理 を利用する易占は、古代中国人の宇宙観である”天円の宇宙”と”四角い大地”を 意図した”丸くて四角い穴の開いている硬貨”でなければ、自然界の法則に基づ く未来を告げてくれる占い用具とはなり得ないからです。

 古代中国人は意味もなく”丸くて四角い穴の開いた貨幣”を作った訳ではない のです。現代の易占家は誰ひとり”擲銭法”の意味するところを理解しっていな かったようです。10円玉や100円玉は自然界を意図して作られた貨幣とはいえません。

 

■心易は筮竹やサイコロの易占いとどう違うのか

 占いの書物が占い師ではない一般の方に役立つためには、この点は極めて重 要です。多くの占いの入門書が、実際にはあまり役立つことなく終わってしまうの は、占い師と一般の方との間で答えが引き出されるまでの間に違いが出てくるからです。

 或いは複雑すぎたり、面倒だったり、計算が難しかったり、逆に簡略化しす ぎて実用に適していなかったりするからです。

 もうひとつ易の入門書の場合にいえることは、64卦それぞれについてだらだ らと記してしまうと、どうしても抽象的となって実際の悩みの解答とはなりにく いのです。ここではそれを避けるため、恋愛の出会いと展開、相性と結婚、金運と 仕事、といったようにテーマを絞り、それぞれに分けて手短に記述する方法で述 べてあります。占いハウスなどでの実占経験から、占いでアドバイスを求めようとする方は、新しい出会いや別れを経験するたびに占って貰おうとしたり、職場 を変えるたびに占って貰おうとしたり、結婚を意識するたびに占って貰おうとし たりするものです。

 易やタロットが実用性に優れているのは、例え同じテーマで も、相手や対象が異なったり、時期や状況が異なったりした場合、あらためて占い 直してみる、ということが可能である点です。しかも易の場合、タロットなどと比 べて相性診断が明確で判りやすく、その対処法もハッキリとしている優点があり ます。

■ソフトを使えばあなたも易占いの達人になれる

 昔から、易占書は比較的沢山出版されています。易に関する本の中には、古典 的な「易経」そのものを解説した本も少なくありません。周易の場合は、「易経(え ききょう)」原典をそのまま占断結果として利用している部分があるので重要視す るのは当然ですが、元々が哲学・宗教に属する書なので抽象的で難解です。

 われわれは哲学者になる訳でも宗教家になる訳でもありませんから、抽象的で 難解な辞を生のまま出されても困るのです。プロの易占家になろうという人は 「易経」原典を熟読しておくことも必要ですが、それとて占断にそのまま使うため ではありません。

 現に若いプロ易占家の中には「易経」原典を読んだことのない人 さえいます。目覚ましい進歩をとげて行く現代において、「易経」原典だけにしが みついてしまうと、道徳の教科書に等しい生き方を強制されるような圧迫感を受 けることでしょう。市販されている易占書の中にも、そういう「易経」原典の翻訳 書そのままに思える”生き方を強いるような”占いの書物となっているものも少な くありません。

 占いは本来、宗教・思想などと異なり、個々の生き方を強制するも のではありません。どの生き方が正しいかではなくて、こちらを択べばこうなる、 あちらを択べばこうなる、との予測を与える選択の際の参考資料としてのメッ セージなのです。

 したがって、どの道を択ぶかはあくまでもあなた自身にかかっています。

 けれども同時に、易は”開運術”(又は改運術)としての側面も備えています。ど うにもならない状態のときとか、危険が予知される状態のときとかに、それでは どうすれば現状を脱け出すことができるのか、危険を避けることができるのか、 具体的な指示を発してくれる“未来からの導き手”でもあるのです。判断内容の深 さからいえば、プロの易占家の方たちにとっても参考になるであろう記述も少なくありません。

●質問

 易は中国三皇時代(約600年前?)のシャーマン王であった伏儀(ふくぎ)が八卦 を作ったことに始まる、という説がありますが本当でしょうか。また文王が64卦と してとか、孔子が「十翼(じゅうよく)を作ったというのはどうでしょう。

●回答

 古来、中国では古いもの、歴史あるものを尊重する傾向があるので必ずしも伝説通りに受けとめることはできません。ただ「伏儀」という名称がまったくの架空 かといえばそうともいえません。

 確実なことは、八卦を作った者が同時に64卦も 作っている、ということで別々の作者により作られたものではない、ということで す。そして、その時代とは、歴史上遺跡が確認されている最初の王朝である「殷(い ん)王朝」末期の頃を推定するのが一番妥当であろうと思われます。

 孔子が十翼を作ったというのは権威付けにすぎないと思われますが、易書を読んでいたかもしれません。

●質問

 「易」という文字は”トカゲの象形”だという説がありますが本当でしょうか。も うひとつ”日月説”というのもあって「日」と「月」との合字が「易」だというのです が、どちらの主張が正しいのでしょうか。

●回答

 漢字というのは、元々が象形文字である甲骨文字からスタートしていますので、 その点を重視するなら”トカゲ”の方が正解ということになります。”日月説”の 「月」は当然のことですが゛”三日月”の象形だったので、ふたつの文字を合わせて も「易」という象形にはならないのです。

 それでは何故”トカゲ”なのかといえば、カメレオンと同じく変色動物で一日に 何回も色を変えることができることと、竜(龍ではない)の形に似ていること、雨 を降らせる力を持っていると信じられていたことなどによるものと思われます。 易に出てくる「竜」はトカゲに似た爬虫類かもしれません。

 

フォーチュンソフト注釈

 易の真髄は、カメレオンのように変化 することにあるのではないでしょうか?

 つまり人生には調子の良い時も悪い時もあるが、それは一時的なものであって、 一喜一憂すべきではない。それよりも自分の現在のポジションを知って変化に備 えるという柔軟な姿勢こそが重要であるということではないでしょうか。言い換 えれば、「こだわりを捨てよ」、「文字の1字1句にとらわれるな」、「身勝手な頑固さ を捨てよ」、「柔軟な姿勢で人生に望め」という教えを説いているものと推測しま す。

 人間は年を取れば、長い人生経験からの思いこみが強くなりそれが大きな判 断ミスを招きます。高速道路を走ったことのない高齢者が、知らずに高速道路に 入ってしまい(でも高速道路とは気が付かない)、高速道路を何キロも逆走して事 故を起こす例が実際に、年間何件かあるそうです。本人は、左側を走っているの になぜ車が自分に向かってくるのか最後ま分からずに、この道路は暴走族の道路 だと思い込んでいたようです。このように、経験に裏づけされた判断は、時に大 きなミスも誘発することを易學は教えているのだと思います。

 

●質問

 易には「周易」の前に「連山易」と「帰蔵易」とがあった、と記されている本がある のですが本当でしょうか。また、「易経」は元々占いのための本ではない、という説 がありますがこちらの方はどうでしょう。

●回答

 女性誌の広告に「連山易」で占うということを看板として掲げている占い業者がいるようですが、まったくのデタラメです。先にも述べたように中国人は伝統 や歴史を尊ぶので、つい権威付けのために空想の中で”より古い易”を求めてし まうのでしょう。

 「竜師」とも呼ばれた伏儀を創始者とするなら、こんな妄想が生れる筈がない のです。64卦の一番最初に「周易」では”乾為天”が置かれ、”竜”に関しての辞(こ とば)が沢山でてきます。易にとって「竜」は原点なのです。「易経」は元々占いの書 ではない、というのは誤りです。易が儒教の経典となったのは後からのことなの です。

●質問

 街頭などではよく「高嶋易断」という看板を見掛けるのですが、あれはどんな 易なのでしょうか。易占家には筮竹を使う方とサイコロを使う方とがいるようで すが、どちらの方がより的中率が高いといえるのでしょうか。

●回答

 明治初期から末期まで、政財界に多大な影響力を投げかけた易占家がいまし た。それが「高嶋易断」の開祖である高嶋嘉右衛門(たかしまかえもん)です。彼は 獄中の中で「易経」と出会い開眼した人物です。出所後に「高嶋嘉右衛門」を名乗 り、実業家として成功します。

 同時に易の方でも次々と予言を的中させ、当時の政財界人たちから絶賛され る存在となって行きます。その名声にあやかって誕生したのが「高嶋易断」ですが、 嘉右衛門自身とは何の関係もありません。

 「高嶋易」は筮竹を用いる”周易”の一流 派ですが、動爻位置と「易経」原文の辞(ことば)とを重視します。易は用具によっ て当たり外れが定まるものではなく、その解釈の仕方に掛っています。

■■波木流「心易」の具体的方法

■易はなによりも”占機”を重要視する

 易占における”占機(せんき)”はきわめて重要です。

 ”占機”というのは、゛占いしようと思ったその瞬間”をいいます。或いは、占って もらおうと心に決めて今まで話さずにいた悩みを口に出したその時を言います。

 そこからすべてが始まるのです。人間の誕生が”産声”を上げたときであるよう に、その占おうとする事柄もそこからすべては始まるのです。そういう意味では、 やみくもに何でも占いに答えを求めようとするのは考えものです。どうしても知りたかったり、手掛りがつかめなかったり、決断できなかったり、出口が見いだせ なかったり、救いの手が欲しかったりしたときを”占機”とすべきなのです。

 もちろん、同じことを何度も何度も占うのはタブーです。特に「心易」は、心の易なので、 この部分を無視すると正しい答えが出ません。宇宙である大自然に真摯で素直な 問いかけが、天の声としての答えを引き出すのです。

 同じように゛占機”をそのまま判断材料とする占いは他にもあって、中国系占術 では「六壬神課(りくじんしんか)」や「紫微ト理(しびぼくり)」、日本の占術では「芝 山干支占法(しばやまかんしせんぽう)」や「気学九星掛(きがくきゅうせいかか) りの法」、西洋系占術では「ホラリー占星術」などが同様な組み立てになっていま す。決して「心易」だけが”占機”を判断材料としている訳ではないのです。

 また、易占の中でも「五行易」として知られる漢易は、易の卦爻そのものはサイ コロなどを使って表出せるのですが、占う日を「日辰(にっしん)」、占う月を「月建 (げっけん)」といって卦爻を解読する上でのキメ手として重要視するのです。

 日本人は、とかく占いに対して、簡単過ぎるものは疑い、複雑で難しいものは投 げ出してしまうのが常です。確かに、占いの本の中には、易しく書こうとする意識 が裏目に出て、単純分類のみのつまらない本や上面をなでただけの女性雑誌特 集もどきの本も少なくありません。また最近では、残念なことですが占いを”ゲー ムの一種”のような形で扱う本も出てきました。

 

■「心易」実践に必要な陰陽の基礎知識

 「易」は”陰陽の組み合わせ”により成り立っている象からスタートします。

 これは心易でも周易でも五行易でも全く同様です。そこで、易占いをするため には陰陽思想の考え方と、それが具体的象となった八卦および六十四卦というも のの成り立ちについて知っておく必要があります。といっても、別に難しいもので はありません。また、特別なものでもありません。

 判りやすくいえば、「陰」とは”日 陰”のことであり、「陽」とは”日向”のことなのです。当然のことながら、日陰は暗 く、日向は明るい、という誰の目から見ても明らかな事実が存在します。陰陽思想 の原点はここにあります。一日の中で、もっとも日向を生じやすいのは「正午」(昼 12時)の頃であり、その時刻を”陽の極点”とします。同じくもっとも日陰を生じやすいのは「正子」(夜12時)の頃であり、その時刻を”陰の極点”とします。

 そして誰 もが知っているように一日の始まりは”陰の極点”である夜12時(午前0時)からで す。次に一ヶ月の中でもっとも日向を生じやすい日はいつでしょうか? 仮に、あ なたが易の研究者であってもこの問いには答えられないことでしょう。

 それはあなたが通常われわれが用いている太陽暦(グレゴリオ暦)を想定して考えてしまうからです。古代人と同じように「太陽暦」を想定しなければ、この問いの謎は解けないのです。

 太陽暦とは、月の形を見て日数を数えて行く暦のことです。この 太陽暦においては、何月であろうと一ヶ月の始まりである「一日」は”月の見えな い新月”であり、「十五日」は”真ん丸お月さまの満月”なのです。したがって、答え は当然「太陽暦上の15日」ということになります。

 つまり、太陽暦上の一ヶ月の中では、”陽の極点”は「十五日」(満月)であり、”陰 の極点”は「一日」(新月)となります。当然のことながら一ヶ月の始まりは、”陰の極 点”である「一日」(新月)となっていたことは注目すべき事実です。

 続いて一年の中でもっとも日向を生じやすい日はいつでしょうか?明るさは気 温とは別物ですから、日照時間のもっとも長い「夏至」(太陽暦上の6月22日頃)が それに当たります。

 逆に日照時間のもっとも短い「冬至」(太陽暦上の12月22日頃) が”陰の極点”であり、もっとも日陰を生じやすい日ということになります。した がって原初中国における一年の始まりは「立春」ではなく「冬至」だったという訳で す。

 

■自然界の循環作用から生れた”八卦(はっか)”の象

 われわれが地球上に生きて行く以上、自然界の循環作用である宇宙のリズムに 逆うことはできません。

一日24時間のサイクルは、地球の自転現象によって生み出されるサイクルです。
一年365日のサイクルは、太陽との公転現象によって作り出されるサイクルです。
太陰暦上の一ヶ月30日間のサイクルは、月と地球と太陽の三者が一体となって作り出すサイクルです。

われわれはこれらのサイクルから逃れることはできません。

・一日は”陰の極点”である「正子」(夜12時)に始まり、「正午」(昼12時)で”陽の極 点”を迎えます。その時刻をピークに、再び「陰」(日蔭)が増えて行きます。

・一年は”陰の極点”である「冬至」(太陽暦12月22日頃)に始まり、「夏至」(太陽暦 6月22日頃)で”陽の極点”を迎えます。その日をピークに、序々に「陽」(日向)であ る日照時間が減少して行き、俗にいう”夜が長くなって行く”のです。

・太陰暦である「朔望月」の一ヶ月は、”陰の極点”である「新月」(太陰暦1日)に始 まり、「満月」(太陽暦15日)で”陽の極点”を迎えます。それをピークに、序々に満月 は欠けて行って「陽」である光の面積を乏しくさせてしまうのです。

つまり、月間サイクル、年間サイクル、日間サイクルのそれぞれが、”陰の極点” から”陽の極点”へ、”陽の極点”から”陰の極点”へと循環して行く構造となってい る訳です。古来、易のテキストでは「陰極まれば陽となり、陽極まれば陰となる」と 説いていますがこの事実に由来していたと考えるべきでしょう。

 古来、「易は逆数なり」といって下から上へと積み重ねて行きます。心易では太 極(たいきょく)=心と捉えるので、より”占機”が重視されるのです。三段重ねに するのは、天・人・地それぞれの陰陽が組み合わされて”自然界の象=八卦”が生 じると考えるからです。

 易では、この八卦がすべての基本です。八卦それぞれの三段重ねにされている 一段一段の陰陽のことを「爻(こう)」とも呼びます。

■波木星龍による易の実占例

-山地剥の三爻変ー

 今年中に家を新築したい、という会社社長の男性に「山地剥の三爻変」が出ま した。建造物にはもっとも不吉な易で”崩れ落ちて行く姿”が示されています。私 は「今年は止めた方が良いですね」といいましたが、男性は「どうしてですか」と納 得しません。「今年建てると風水害で家を失うとか、せっかくの事業が傾くとかす る可能性があります」「しかし、あそこは水害の心配はないし、商売の方だって順 調ですけどね」彼は私の占いななど全く信用していないようでした。奥さんに連 れられて仕方なく来た、という感じなのです。それでも私の顔を立てようとした のか「まア、地鎮祭をしっかりやってから建てますから・・・」といって帰りました。新 築後一年もたたない内に社長の奥さんが「どうしてなのか近くを車が通っただ けで家が揺れるんです。それに玄関の戸が半分しか開かなくなりました。加えて 主人が腰痛となって仕事に支障を来たし、息子たちも家業を手伝わなくなりまし た。どうすれば良いでしょう」と苦悩の表情で訪ねて来られたのでした。

ー地風弁の三爻変ー

 恋人とはトラブル続きなので別れようと思っているのですが、別れたらもう縁 がないような気がして迷っています。という女性に「地風弁の三爻変」が出ました。 そこで「これは縁がないどころか、今すぐにでも別の相手が出現してくる形が出 ているのですが、すでにこの人ならと思うような男性がいるのではありません か」「いいえ、そんな方はおりません。ただ、今の彼ともまだ別れていないのに、交 際を申し込まれている男性ならいますが・・・」「きっとその男性ですよ」「でも、あ まり私の好みではないのです」「ふたりだけで会ったり、話たりしたことはあるの ですか」「いいえ、実際にはどういう方なのか、よく解らないのです」「もし、二人 だけで会うのが嫌ならお友達も加えて三人で会ってみてはどうですか」それから 半年ほどして、彼女の友人が来て「先生によろしく伝えて下さいと頼まれました。 先生が占われた通り、とても良い方で5月には結婚されるそうです」と教えてくれ

ました。結婚の準備で忙しくお礼に行けないと言っていたそうです。

ー天山遯の上爻変ー

 仕事運について占って欲しい、という若い女性に「天山遯の上爻変」が出まし た。そこで「これは今の仕事への意欲が失われている形で、辞めたい気持が強い のではありませんか」と判断してみると「その通りですが、ちよっと違います。実は たった今、会社に”辞表”を提出してきたのです」と愉しそうにいうのです。「これ からのことについてはまだ考えていないのですが、どうすれば良いでしょうか」 「これは今すぐ別の仕事を捜し出す形ではありません。とりあえず少し休養して 半年くらいしてから捜し出す方が良いかもしれません」「私も今すぐは勤め出す 気にはなれません」雇用保険が出るので経済的にも心配していないそうです。

ー地下明夷の二爻変ー

 東京在住の男性に北海道から逢いに行く、という女性に「地下明夷の二爻変」 が出ました。「この恋愛は成立しません。恐らく会いに行ってもちゃんと会ってく れないか、会ったとしてもあなたが傷ついてしまうような結果になります」と引き とめましたが、「・・・でも、決めたことですから」と自分に言いきかすかのように言 い残して席を立ちました。二ヶ月ほど経って再びやってきましたが「夜まで待って 会うことは会いましたけど、冷たくされました。もう、私はダメでしょうか」と泣き そうな顔で訴えました。「彼とのことはあきらめた方が良いかもしれません。でも、 あなたにふさわしい相手が現れる筈です」といったのですがしょげてしまいまし た。それから一年も経たない内に結婚し、一児の母となりました。

■■易占判断の技法と開運システム

 この章では、そもそも易占判断とはどういうところから判断を下しているのか について、そのエッセンスを簡単に公開してみました。本書では必ずしも知る必要のない知識も含まれているので、興味のない方は素通りしてもかまいません。

ただ、これらを知っておくことによって、占いの結果があまり良くない場合、「では どうすれば良いのか」を自分なれに見い出だすことができるようになるのです。 また、64卦の解釈にしても、慣れるにしたがって、波木星龍とはまた異ったあなた 独自の判断が生れてくるかもしれません。

■易の卦名(かめい)や辞(ことば)に基づく判断とアドバイス

 内卦の八卦と外卦の八卦とが重なり合わされた”64卦”には、それぞれ”卦の名 称”が与えられています。これを卦名といいます。先に出てきた「地天泰」がそうで すし、その前に出てきた「水山蹇(すいざんけん)」もそうです。これらの名称は、 順序的には上から外卦の八卦名十重ね合わされた意味(通常は「泰」や「蹇」のよ うに一文字)の三つで構成されています。

ただ、同じ八卦が重なりあわされるとき だけ「乾為天(けんいてん)」や「神為地(こんいち)」のように、八卦名とその別称 とを上下に入れて、その中間に「為(い)」の文字を加えた名称となります。慣れる までは難しそうに思えるかもしれませんが、何度も占っている内に自然に頭の中 に入ってしまうのが卦名です。無理に覚えようとする必要はありません。

 心易の判断では、この”卦名”からの類推に基づいて占うというのもひとつの テクニックです。例えば、今後の交際を占って「地天泰」が出れば”泰らかな交際 が続く”と占えますし、「水山蹇」が出れば、”足踏み状態が続く”と占えるがごとき です。これらは本来、オーソドックスで初歩的な判断なのですが、案外プロの易占 家でもスムーズに行えない人がいるのには驚きます。それは、卦名と占いの答え とを最初から”別物”として難しく考えすぎるからです。観たままを素直に読み、感 じたままをストレートに表現することこそ”名易占家”への道なのです。

 「易径」原典に最初に記された言葉が「卦辞(かじ)」と「爻辞(こうじ)」です。最 古の「易径」原文はこのふたつのみです。いずれも簡素な辞です。

 例えば「天地泰」 の卦辞には「泰は小往き大来る。吉にして亨る。」としか記されていません。小さモノのは出て行って、大きいモノが入ってくる。それは「吉」だから行って良い・・とい う風な意味でしょう。

 要するにこれだけなのです。「卦辞」は”卦”全体に対する辞 で、「爻辞」は初爻から上爻までの”爻”それぞれに対する辞です。例えば「五爻変」 (動爻が五爻)の爻辞には「帝乙(ていいつ)妹を帰がしむ。もって祉ありて元吉な り」とあります。帝乙という名の妹(娘)を臣下に嫁がせた。このようにすれば天下 泰平となり、元いに吉である・・という風な意味です。

 そこで、相手との結婚を占って「天地泰の五爻変」が出た場合、職場の上司や先輩に当たる人物、或いは取引先の相手などであれば安定した家庭を築くことが できる、と判断できますし、若者は独立し、年配者は親元に残る結婚で、とも判断 できるのです。

 

■易の五行と季節に基づく判断と開運法

 易の解釈には、先に説明した”陰陽理論”と、もうひとつ”五行理論”というもの が加えられます。この五行理論を理解する一番の方法は、五季としての解釈です。

 普通「四季」とはいっても「五季」とは言いませんが、五行理論をスムーズに理解 し、記憶する上では「五季」という捉え方が何よりも都合が良いのです。つまり、一 年を春・夏・秋・冬・の四季と、その四季それぞれの中間に短く挟まれて存在する 土用期間をまとめて”一季”と見立てて加えた「五季」としての解釈です。

 五行に当てはめた場合、春=木、夏=火、秋=金、冬=水、となって、土用期間は 当然「土」ということになるのですが、その内でも、夏の終わりと秋の開始の間に 位置している「土」を、”土用期間の代表”として扱います。 そうすると、季節を五 行に置き替えると、「木」一>「火」一>「土」一>「金」一>「水」の順に「五季」として の季節が巡って行くことになります。この季節としてのスムーズな流れを相生作 用と表現します。 

 次に、春と秋、夏と冬、は明らかに相容れない対照的な季節です。これを五行に 置き替えると、「木」と「金」、「火」と「水」という図式で向い合うことになりますが、 互いに相剋作用と呼ぶ反発状態を招くとされています。

 この相生の吉作用、或い は相剋の凶作用を判断の中に取り入れることがあるのが「心易」です。俗に後天 八卦(こうてんはっけ)と呼ばれる八卦配当ですが、古来からの五行配当は、明ら かに前貢に示した”季節五行”と共通しています。

 したがって、冬に「水」や「金」の八卦が出るのは相生の吉作用が働き、「火」の八 卦が出るのは相剋の凶作用となりやすいのです。逆に、夏に「火」や「木」の八卦が 出るのは相生の吉作用となり、「水」の八卦は相剋の凶作用を招きやすいというこ とです。

 したがって、同一の64卦が出た場合でも、占った季節によって微妙に判断に違 いが出てくることもあるということです。ただ、この観方は答えがあいまいにな りがちなときに用いると効果的ですが、何んでも当てはめるのは考えものです。 むしろ、開運のための季節選びとして、凶い卦爻が出てしまったときなどに上手 に利用して行くことをお勧めします。

■内卦・外卦・動爻の見方と対処法

 心易では、内卦を「我」、外卦を「彼」という風にまず捉えます。つまり、占いの対 象となった人や物の状態とか、相手側を「彼」として扱います。

 したがって、恋愛でも結婚でも、ふたりの相性を見ようとする場合には、内卦の 方を「我」で自分自身、外卦の方を「彼」で相手側(恋人や配偶者)として比較対照 します。八卦全体として内卦と外卦とを比較することもありますが、相性判断の一番のキメ手は、内卦の中心爻である二爻と、外卦の中心爻である五爻とが、陰と陽 とで調和しているかどうかです。

 より完璧には初爻と四爻、三爻と上爻の調和状態も参考とします。これら比較 対照する爻同士を応爻(おうこう)といいます。この二爻と五爻による相性判断 は、例えば”就職”というかたちで占った場合には、「我」を本人、「彼」を職場、とし て陰陽が調和しているかどうか、でその職場に馴染めるかどうかを判断したりも します。

 その他、内卦の八卦には表に現れにくい潜在能力とか無意識的感情、根本的運 勢などが示されやすく、外卦の八卦には具体化されて行く出来事とか状況、実質 的行動、表面上の運勢などが示されやすいものです。この違いを把握しておくこ とによって、一見、当っていないように感じる易卦が出ても何故なのかを知るこ とができたりすることもあります。

 次に動爻ですが、易は初爻から上爻へと進んで行くので、初爻が出た場合に は、その易卦の意味する初期段階に入り始めたところと見立て、上爻が出た場合 はすでにその易卦の運気の最終段階に至っているとみるべきなのです。したがっ て、初爻にはまだその易卦の意味が発動しないケースがあり、上爻では早くもそ の易卦の運気が逆転しているケースがあり、爻を追うことで運気の流れを掴むこ とも可能になるのです。

 

■本卦解読のための四つの生卦を知る

 求められた易卦が「火山旅(かざんりょ)の三爻変(さんこうへん)」だったとし ます。もちろん、本書各章の「火山旅」のところを読めば、その意味するところは 把握することができます。それだけで十分に納得できることも多いことでしょう。 ただ、時としては、より深くその意味を知りたいとか、もっと別の角度からの解答 が欲しいとか、どうしてそういう答えとなるのかを教えて欲しい、と思うことも出 てくることでしょう。

 心易の的確さを認識するにつれ、そういう疑問が出てきま す。最初に求められた易卦を「本卦」、又は「得卦」とも呼びます。ここでは「火山旅 の三爻変」が本卦(得卦)です。さて、この本卦から、四つの新しい易卦を生み出す ことができるのです。新しく生み出される易卦を「生卦」といいます。本当は四つ だけとは限らないのですが、ここでは四つに限定します。

 その第1は「之卦(しか)」です。これは動爻の陰陽が変化したことで生れる易卦 です。「火山旅の三爻変」の場合は、当然三爻が陽から陰に変った「火地晋(かちし ん)」が之卦ということになります。

 その第2は「綜卦(そうけ)」です。これは本卦を180度回転させて上下を逆にす ることで生れる易卦です。「火山旅」の場合は、「雷火豊(らいかほう)」が綜卦とい うことになります。

 その第3は「伏卦(ふくか)」です。これは本卦の陰陽をすべて反転させることに よって、生れる易卦で「裏卦(うらけ)」とも呼ばれ、「水沢節(すいたくせつ)」が伏

卦となります。

 その第4は「互卦(ごけ)」です。これは本卦の五・四・三爻で外卦を作り、本卦の 四・三・二爻で内卦を作り、合せて一卦とするもので、「火山旅」の場合は「沢風大 過(たくふうたいが)」が互卦ということになります。

 これら四つの生卦のアドバイスも合せ読むことで、本卦だけでは解らなかった 謎が解けて行くことも少なくないでしょう。

■どの部屋の扉を開くかで未来は変わる

 これまで述べてきたように、易占による実際の判断、解釈、観方にはさまざまな 方法があります。専門的になるので詳しくは述べませんが、易の優れているとこ ろは、現在の延長線上にある未来ばかりではなく、途中からコースを切り替えた り、対応策を打って出たりした場合の未来をも示してくれる点にあります。

 つまり、未来を”不変のもの”として捉えるのではなく、いくらでも変えて行く ことのできる”変幻なるもの”としてカメレオンのように色を変える「トカゲ」を、 この占いの象徴動物と見立てたに違いありません。

 もう一歩進めて言えば、「生きて行く上で一番重要なことは、こだわりを捨てる ことである」と教えようとしているのかも知れません。こだわりさえ捨てれば、新 しい明日に出逢えるのです。

 「運命」と呼ぶ見知らぬお城の迷路の中に迷い込んだとき、どの部屋の扉を開 くかはあなたの自由なのです。そして、その開く扉いかんによって、その後のあ なたの人生は大きく異なったものになって行くことでしょう。

 この本では、占いの判断という形の中で、開くべき扉の方向性を示唆していま すが、制限された文字数があり、あなたの迷いを吹っ切るのに十分な説得力を 持っているかどうかには疑問の点もあります。本当は”改運”のための技法につい ても具体的に記すつもりだったのですが、そのヒントとなることに触れたに留 まってしまいました。

 本ソフトウエアの表示される文章でも、改運技法を用いた対処法や開運秘訣に ついても極力取り入れるよう心掛けていこます。

 通常、易の入門書や入門ソフトでは、64卦は扱ってもその初爻から上爻までの 各爻については複雑になるので記さないのが普通です。ところが、それだと開運 術としての易占のすばらしさは体験できません。判断やアドバイスも具体性にや や欠けてくるのです。