■ある経営者Kさんのビジネス能力の鑑定事例
このKさん、関東でホテルを十数件経営している方です。ホテル経営という本業では、問題なく利益を出しているのですが、バブル時代に、不動産の買い付けや証券などに手を出してしまい、その借金の金額が膨大で、銀行に経営権を取られてしまった人です。
しかし、バブル時代にKさんが、こういったものに手を出そうとしていたときに、その暴走を止める幹部がいなかったわけではありません。むしろ、首を覚悟でそういった投機をやめるようにと進言したスタッフもいたそうですが、「社長の俺に口出すな」ということで、気に入らない幹部を首にしたため、現在は、Kさんの顔色ばかりを気にして、仕事をしている社員しか残っていないようです。
そのためか、会社のお金をごまかして、自分の懐に入れる社員が、後を絶たないような有様です。Kさんは、なんとかして、そういった組織を立て直そうと懸命ですが、やっても、やってもうまくいきませんでした。会社に寝泊まりする日が、1年間のうち、100日間もあり、奥さんとは、縁が遠くなり、子供は非行に走り、家庭もバラバラといった状況です。また、健康もそこね、手が震える中風のような症状になり、車の運転もままならないことがあるそうです。
自分が築いた財産と会社を子供に残そうと、子供の成長を唯一の楽しみにしていたのですが、子供はKさんの会社に入ることを嫌がり、かといって就職することもなく、フリーターをしているようです。
このKさんの事業がスタートしてから、このような状態に陥るまでの20年間を振り返ってみますと、左か右かを選択しなければならない重要なときに、選択ミスを犯してしまったことが分かります。
そのミスを犯した原因は全て同じところに起因しているのです。つまり、自分の『特質』を知らないで、やらなくても良いことを『無理』して強引に、やってしまっただけなのです。
世界占星学プロ版でみると、Kさんを支配しているのは『火星』と『木星』です。
その火星と木星が180度で向かい合っていますので、火星の闘争心で木星の社会的成功を勝ち得るパワーがあることを示しています。さらに闘争心の火星が、幻想を司る『海王星』と45度アスペクトし、太陽と90度アスペクトしています。
つまり、太陽のあふれるばかりの生命力と闘争心が、海王星の幻想にとらわれ、かえってあだとなる可能性があり、その原因が、現実を無視した非計画的な野望や夢と思いこみにあることを暗示しています。
人からの甘い誘惑に乗って、証券や不動産に手を出してしまったのは、海王星の幻想性がマイナスに作用した結果です。
現実面での冷静な判断が苦手ということを自覚していれば、手を出さずに済んだはずなのです。
このように、世界占星学では、その人を支配する惑星を、算出し、その惑星のアスペクトから、人生傾向の概要を素早く理解することができます。
新四柱推命プロ版でみるとKさんの能力は、『劫財』です。
つまり、人には負けたくないという闘争心と競争心、そして、勝つこと自体に喜びを見いだし、勝ったあとはどうするのか?ということは気にしないのです。永遠に競争を続けていきたいという能力なのです。
Kさんの劫財は、自分が、たき火の火にもかかわらず、太陽の火まで奪ってやりたいという強烈なものです。そして、この競争心をサポートしているのが、年干にある『印綬』です。
つまり、独創的なアイデアです。このように、通変星というのは、能力を支配します。
実際、ホテル経営がうまくいっていたのは、センスのある部屋の設計と調度品が顧客に人気だったからなのです。建築士を使ってはいましたが、自分でホテルの部屋の図面を書いて建築士に渡していたのです。
つまり、前進するのに必要なパワーと知恵はあったとしても、社内の管理能力には欠けるという面があったのです。管理能力がない場合は、幹部を信頼して、社員の管理を任せれば良かったのです。
信頼すべき幹部は、遠慮なく自分に意見をしてくる社員だったのです。
自分は、経営者だから、何でもかんでも、自分でやらなければ、ならないという習性を支配していたのは、十二運星の、『建禄』です。十二運星は、このように、習性を支配します。
新紫薇斗数推命プロ版でみると、Kさんは『学問』で身を立てていくタイプです。
紫薇斗数推命は、人間の深層心理をズバリ診断することができます。つまり、どういう心の状態にあると、その人が、幸せになるのかということが分かるのです。
財帛宮に、『文昌星』(ぶんしょうせい)が入っていて、これは学問の星です。つまり、学問で身を立てていくと心がうれしくなるというタイプなのです。商売をして、心がうれしくなるというタイプでは元々ないのです。ホテルの部屋の設計にこだわるのも、そういう図面を書くのが楽しいからなのです。
つまり、企画を中心にやって、財務管理は、人に任せれば良かったのです。官禄宮には、『巨門星』(きょもんせい)という疑うことが専門の星が入っています。
つまり、部下を温かく育て、信頼して仕事を任せるということが苦手なタイプなのです。むしろ、部下を最初から、疑いの目で見てしまうのです。部下にしてみれば、社長からは真面目に仕事をしても信頼されないので、横領でもしてやるかという気持ちになるのは必然のことなのです。
部下の管理能力がないのに、社長だから、社員の管理も自分がやらなければならないという脅迫めいた思いこみが失敗の原因なのです。命宮には、『太陽星』が入っていますので、あふれるパワーは素晴らしいものがあります。
このように、自分が持って生まれてきた天賦の能力や特質を知っていれば、人生の選択肢が訪れてきたときに、大きく失敗することはないのです。
人生は、選択肢の連続です。選択肢が訪れてきたときには、『運命学ソフト』を使えば、誤りのない選択をしていくことができます。
実際の鑑定では、このように、最初に、世界占星学を使い、次に四柱推命を使い、最後に紫薇斗数推命を使います。
このように、3つの異なる占法を同時並行で使うことによって、鑑定の精度は飛躍的に高まっていくのです。
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