他人との比較をする気持ちのある人は、5分も話せばわかります。自分より上の人に対しては、へりくだり、自分より下の人に対しては、威圧的な態度をとります。つまり、上とか下という区別をつけたがる人です。たとえ、自分より上の人だと思っても、負けてはいけないと思った場合は、突然に雄弁になり、本質をはぐらかした話しをするようになります。
ビジネスの場では、上手にこれを隠す経営者も多いのですが、レストラン、ホテル、などのサービス業にたずさわる従業員に対し、どういう態度をとるかを観察すると、もっとわかりやすい場合もあります。
わたくしは、いろいろな会社の経営者と接することが多いのですが、経営者はその会社ではトップだから、誰にも負けてはいけないという恐怖心をもっていることが多いのです。
人は、生まれつき全ての能力をもっていることはありえません。通変星を能力と考えても、天干の月干と年干に出ているのは2つです。通常は、これを啓発している人が経営者になるわけですが、それでも5つある能力(比劫星、食傷星、財星、官星、印星)のうち2つが啓発されているに過ぎません。
残りの3つは、後天的に、人から真似るしかないのです。机の上で、ガリ勉したからといって、身に付くものではないのです。謙虚に、真似るしかないのです。
ここが重要なところです。自分が経営する会社であったとしても、自分にはない能力をもった人は、当然いるわけです。そういう人は、経営者の欠点を見抜きますから、経営者に対し、進言、非難、批判をするようになります。
そのときに、自分に足りない能力をもった社員から、その能力を真似ようとするか、それとも、権力でもって押さえつけようとするかで、その経営者の運命が、左右されます。
従業員が50人、年間の売り上げが10億円くらいまでは、社長のワンマン能力だけで、上昇するものですが、そこからさらに、ステップアップをして、上場を目指そうというような体制にしたいのであれば、経営者が、自分の能力を封印して、馬鹿を演じなければならない場合もあるのです。
馬鹿を演じながら、社員の能力を吸収していくという器と余裕が、要求されます。