- 季節と調候
寅月は陽気が漸増(ぜんぞう)するも、まだ初春で余寒が残存しています。
初春は草木が萌芽の時で木気が旺じています。
優しい癸水(雨露)は冬に旺じて春には退気となります。
即ち、水の気は「水−木」と流れて洩気して身弱となっています。
春の癸水は身弱ですので、先に辛金や庚金を用いて癸水の発水源とする必要があります。
次に寒気がまだ残存する季節ですから、丙火(太陽)の照暖(しょうだん)を求めます。
- 水火既済
故に水火既済(すいかきさい)となり陰陽和合の象を得て万物が発展発育するのであります。
水火既済とは易の言葉で物事が全て完成した「完成美」ことを言います
- 正財と偏印
丙火の財星と辛金の偏印が透干して、丙火が寅に通根(つうこん=天干と地支が一体となる)して辛金と干合しなければ丙火と辛金は各々の役割を得て富貴を求め得る命となります。
丙火と辛金を共に地支に蔵する命造は、丙火の財星を以って用神となし、運程において引き出す必要があります。
命中に火土が多くて庚辛金が無く、又壬水の扶けが無い場合は身弱の極となり孤貧を免れることは出来ない。そして癸水が乾くために残疾を見る事になります。
- 比劫争財
地支が水局を作り丙火の財が透干すれば、癸水の我が身が旺じ身強となるは財星を用神とします。
但し、天干に比劫を見ないことである、比劫があれば比劫争財(ひごうそうざい)となって兄弟で財産の争いがあったりして最後には財を散じます。
- 干合
辛金は丙火と合しますので並んで天干にあることを嫌います。
水源である辛金を損傷してはいけませんので、この場合は壬水を使って丙火を剋し、辛金を助け癸水を強くする必要があります。
即ち、干合は「むさぼるの意味」がありますので喜ぶものではありません。
癸水:卯月生まれ
- 季節と調候
卯月は草木が繁茂する季節で木気が旺じています。
癸水は月令の卯木を見て水−木と日干の気を洩らして退気して、その生気は休囚(きゅうしゅう)しています。
- 先に印星
卯月は身弱ですので、先に身強とする方法を用います。
癸水の卯月生れは洩気して身弱ですから、先に印星の庚辛金の水源を必要とします。
そして辛、庚金が透干して丁火で制剋されなければ富貴を得れる命であり庚辛金が無ければ身弱で下格となります。
- 春の金は弱い
庚辛金は卯月に於いては絶して勢いが無いので、庚金と辛金が共に天干に透干するを喜びとします。
- 病と薬
丁火の忌神が透干しても己土が透干して丁火の気を洩らすならば損傷は致しません。
癸水:辰月生まれ
- 季節と調候
辰月は春の晩春で万物を育てる雨が多い季節で蔵干に「乙、癸、戊」を含んでいます。
辰月は上半月と下半月に分けて看命することです。
- 上半月
上半月に於いては火気がそれ程盛んでなく、辰中の癸水が月令を得ていますので我が身は身強となります。
辰月の上半月は調候である丙火を用いて陰陽の和合とします。
- 下半月
土の官星が旺じて我が身は身弱となっていますので、丙火を用いると共に辛金を以って癸水を生扶することが必要です。
即ち、土−金−水と流し「殺印化格」とします。
癸水が身強であるならば、正気の土が旺じていますので、まず甲木でもって強い土を制す必要があります。
- 遁干月
辰月生れの癸水は干合して他の局(火)に従う命造が多いのです。
辰月は変化し易い月=「遁干(とんかん)する月であります」
全て天干が変わってくる時であるから干合して他の局に化し易い。
十干の中で癸水が戊土を見ると火に最も従化し易くなります。
- 仮の偏官格
地支が水局を作り身が旺じて甲木(傷官)を見ないで、己土(偏官)を見る場合は、己土の偏官が弱くても用神とします。そして丙火の財星で弱い偏官を相生する事です。
- 傷官生財
地支が木局(傷官)作り丙火(正財)が透干するは「傷官生財格」となり聡明な人であります。但し金の印星が無いことです。
辰月は身弱でありますから、我が身を扶ける比劫と金水があれば身強になります。
- 季節と調候
巳月は火炎が旺じて陽気が盛んとなる季節で、火、土が共に旺じ癸水は絶地になりますので水気は極弱となります。
巳月は極弱となり生気が無いので庚金、辛金の印星でもって水を滋潤して生ずるか、または壬水の劫財の扶けがなければ癸水は存在すること自体不可能になります。
- 丁火を嫌う
命式において辛金が天干にあって、丁火の財星が用神の辛金を傷めず、さらに壬水が天干にある造りは名声を得ることができます。
若し、丁火が有って辛金を剋し壬水の救神が無ければ富貴を得ずして貧人となります。
辛金を蔵して丁火が無ければ力量が不足すると言えども、丁火が辛金を傷めないだけでも喜びとします。故に衣食には困らない命となります。
巳月の癸水は印星(金)と劫財(壬)のいづれを欠いても不可能です。
即ち、水を以って火炎を解き金を護ります、そして金を以って水を生ずるのであります。
- 絶処逢生
巳月の庚金は長生と言えども極めて弱く、丑を見て会局すれば弱が転じて強くなります。従ってよく癸水を生ずることが出来ます。
即ち湿土が金を生ずるのであります、命造は絶処逢生(ぜつしょほうせい)となって富貴を得ることが出来ます。
絶処逢生とは絶であるも生に逢うことです
癸水が身強で有れば財官の旺ずる地へ向かうは発展します。
癸水:午月生まれ
- 季節と調候
午月は火炎と燥土が旺ずる季節で、火、土が旺じて癸水に根がなく、生気は極弱の状態になります。
- 水と金は弱い季節
身弱の癸水は庚金、辛金の印星で以って水を生じさせる必要があります。
ただ季節は夏月でありますから丁火が旺じて火剋金と庚辛金は傷められて弱いので之を護るために壬水、癸水の比劫が必要になります。
- 干合を嫌う
丙火が天干にあれば辛金と干合してその役割を失います。
また丁火が天干にあれば壬水と干合しますのでこれを嫌います。
比劫の水を地支に蔵しているだけで透干していなければ庚辛金があると言えども衣食が足りる命でしか有りません。
- 偏枯の命
地支が火局を作り壬水の透干が無ければ僧道の人である、命中に於いて火が旺ずる場合は、必ず壬水を以って之を救わなければならない、少しの水を蔵するだけでは焼け石に水の如くで偏枯の命となり身体に異常があります。
若し戊土が透干して癸水と干合して地支が火局を作れば、格は従格となり別論を作るのです、戊土が無ければたとえ火が旺じても従化論はつくりません。
- 身旺の場合
命式において庚金、辛金が天干にあって壬、癸水も天干にあると身旺になります。
我が身が強ければ財星(火)と官星(土)を用いることができます。
従って、大運が財星(火)と官星(土)に巡ってくれば大いに発展します
癸水:未月生まれ
- 季節
未月は残暑がまだ厳しく「火、土」が旺ずる季節で病は燥土にあります。
癸水は夏月に在っては根が無く、火炎と燥土に逢って生気を失して極弱の命となっています。
水と金は弱い季節
極弱の癸水は庚金、辛金の印星で以って水を生じさせる必要があります。
ただ季節は夏月でありますから、未の蔵干にある丁火が旺じて火剋金と庚辛金は傷められて弱いので、之を護るためにも壬水、癸水の比劫が必要になります。
- 上半月
上半月は火気が壮烈で有りますから、水源となる金が傷められて衰弱して癸水を生ずる力が弱いために必ず壬水、癸水の比劫を用いて生扶するを喜びとします。
- 下半月
下半月は庚金、辛金が進気となりますので壬水、癸水の比劫が無くても富貴を求めることができます。
ただし、丁火(偏財)が天干にあって金を損傷することがあってはいけません。
丁火の透干する命は必ず金水を並び見るを以って上格とします。
- 季節と調候
申月は蔵干に金、水あり金が旺じて寒さが増し金寒水冷の季節となります。
月令の申月は金、水を蔵していますので金生水となって癸水を扶助するので癸水は身強となります。
申月は身強であるから調候でもある丁火(偏財)を用いることができます。
月令に旺じている庚金(印綬)を丁火の財を用いて損印するのが正用です。
丁火を使うためには燃料としての甲木(傷官)がなければなりません。
庚金が旺じて強ければ必ず丁火の財を以って抑える事である。
(1)甲木の傷官を得て丁火の財星を生ずる法であります。
但し「丁、甲、庚」とそれぞれが間隔を置いて直接に傷つけないことであります。
(2)甲木の傷官がなく、丁火の財星を以って損印する法です。
庚金が多くある場合、之を制する事を美とします。
但し、水の比劫で以って丁火を制すれば損印する事が不能となります。
金の印星が太過して丁火の力が乏しい場合は、旺気が身に及んで止ることになりますから、貧困にして跡継ぎが無いのです。
即ち、印星太過は財用神となります。
癸水:酉月生まれ
- 季節と調候
癸水の酉月は陽気が退き黄昏の季節となります。金は水を生じて金寒水冷となりますので丙火(太陽)の調候と辛金を併用します。
辛金と丙火がともに天干に並んでいると干合して其の働きを失しますので、合しない配置に隔ててある必要があります。
- 「金白水清」
辛金は庚金と異なって清く軽い金ですから、癸水をみると「金白水清」となり秀才の命となります。
金白水清が最も嫌うのは土で水の清さを濁すことです。
命中に於いて戊己土か太旺すれば金が埋まり水は濁ります。
- 壬水を見る
陰柔の癸水が壬水を天干に見て旺じていれば、癸水であっても壬水と見なして戊土の官星を用います。
癸水:戌月生まれ
- 季節と調候
戌月は秋が深まり太陽は西山に傾いての淋しさが漂う季節です。
癸水は月令を失して根が無く気勢が衰弱しています。
さらに戊土が旺じる季節ですので、優しい癸水は剋を受けて増々生気は弱くなってしまいます。
従って辛金は我を生ずる処の母星でも有りますので、辛金で以って身弱の癸水を生じることが何より重要です。
- 戊土と甲木
戊土(正官)が透干すれば甲木が必要ですが、燥土では甲木は育ちませんので癸水を以って滋潤が必要となります。
但し、並び見るは良くありません。
戌月の癸水は戊土が旺ずる季節でありますから、甲木を欠かすことは出来ないも辛金と癸水の何れか一つが無くても富貴は得れます。
病は「火、土」にあります。
従って、戌月の癸水は辛金を以って用神(喜神)とし甲木と癸水が補佐用神となります。
- 甲木と辛金
命中に於いて辛金と甲木が共に透干するは辛金を以って水源としますので上格とします。
甲木の透干が有れば強い土を抑えることが出来ますので救いとなります。
甲木と癸水があるも辛金の無い造りは富は有りますが貴は少ない。
甲木があるも癸水と辛金の無い命は平常の人です。
- 季節と調候
亥月は小陽の春とも言いますが日照時間が短くなり、月令に於いては壬水が旺じて寒気が漸増して新雪が舞う季節です。
亥月は癸水が帝旺となって旺ずるも、気候が寒冷となるから丙火の調候を専用とします。
- 水の太過
亥月は水が旺ずる季節であり、壬水が天干にあれば水が旺じて氾濫しますので、戊土(正官)が天干にあって旺じる水を制する必要があります。
即ち、月令に建禄、帝旺を見る場合は丙戊(財官)の透干を喜びとします。
若し、旺ずるものを制するか洩すものが無い場合は、我が身が強いだけで奔波の命となり苦労する人となります。
癸水が壬水を見れば、陰が転じて性情が陽となりますので壬水として看ます。即ち財官を以って用神とします。
己土では旺水を制水が出来ず、ただ壬水を濁らしてしまうのです。
- 木の太過
亥月は甲木の長生になりますので、地支に「未、卯」を見れば木局して、癸水のエネルギーが木気に洩れてしまい我が身の癸水が弱くなります。
この場合は水源である庚金、辛金で以って旺ずる木を制し水を生じる必要があります。
- 財太過
命中に於いて丙丁の火が多くある場合は、身弱財太過または富屋の貧人とも言います。
この場合は、我が身が旺ずる比劫の運へ入れば発展が出来ます。
旺運へ入らなければ女性や金銭に於いて我が身に災いが及びます。
癸水:子月生まれ
- 季節と調候
子月は天が寒く地は凍結の季節で、癸水は建禄を得て旺ずるも雨は雪になっています。庚金は十二運が死となり休囚の時で微力です。
従って何よりも気候の調和を急ぐ必要があるので丙火(太陽)を用いて寒気を除くことであります。
丙火があれば水も暖まり雪は雨露へと変化し、さらに金も暖まります。
即ち、子月生まれの癸水は丙火の正財を先に用神とします。
- 水の太過
子月は水が旺ずる季節であり、壬水が天干にあれば水が旺じて氾濫しますので、戊土(正官)が天干にあって旺じる水を制する必要があります。
即ち、月令に建禄、帝旺を見る場合は丙戊(財官)の透干を喜びとします。
壬癸水が強くても丙火の無い命造は寒凍に過ぎるので貧寒の人であります。若し大運が東南の地へ入れば「吉」を得ることが出来ます。
- 金寒水冷
金寒水冷=金は水を生じますが同時に寒も生じます。
癸水は建禄を得るも陰柔の水でありますから、地支に辛金があって癸水の水源と致します。
但し、丙火が無ければ金寒水冷(きんかんすいれい)となりますので喜びとはしません。
- 身弱殺旺
命中に戊己土が多ければ、官殺が重々して身弱殺旺となり人に頼りて貧寒の命となります。
土(官星)を用いるのは水の氾濫を防ぐためで、水か弱ければ土は不要です。
癸水:丑月生まれ
- 季節と調候
丑月は寒気が厳しく大寒の季節で土は凍結の象を成していますので、急ぎ丙火の太陽で以って寒気を除き気候の調和を必要とします。
- 壬水の用法
癸水が丑月に生れて丙、壬が天干に両透する命は、壬水が太陽の光を補佐します。(丙火の気勢を強くします)
そして地支に戊土を蔵することにより水の氾濫を防ぐことであります。
- 丙火と戊土
壬水と戊土が両透する命は、水が旺じるも制土が有って良く見えますが寒土と寒水であり陽和の気が乏しいので不発の命となります。
戊土の無い命造は丙火を専用として異途において発展します。
即ち、我が身が気を得て財に就くとは之を言います。
丙火が有るも壬水の無い命は、土が暖まり秀気が有ると言えども格局は小であり発展も小さい。
- 癸水を嫌う
地支に子丑を見て癸水が透干する命は、丙火の透干が有ると言えども寒気を除くことが出来ない。
丙火は太陽の光で壬水を忌まないも、癸水は雨ですから太陽の光を遮ります。
- 水木傷官
地支が木局を造る場合は、癸水の気を洩らして水木傷官となり人は聡明であります、但し丙火の財星を見る事です。
若し、洩気太過となれば金を以って救神と致します。
時
|
日
|
月
|
年
|
丁(偏財)
|
癸
|
壬(劫財)
|
壬(劫財)
|
巳
|
卯
|
寅
|
寅
|
(火、金)
|
(木)
|
(木、火)
|
(木、火)
|
- 木:天干になし、 地支に3コ
- 火:天干に丁、 地支に3コ =>最強
- 土:天干になし、 地支になし
- 金:天干になし、 地支に1コ
- 水:天干に癸、壬、壬、地支に根がなし =>弱
- 日主の癸水に根がなく、我が身は弱い。
- この命式の一番強い五行は火です。
- 我が身の癸水を扶助する金もありませんので、身弱財大過となります。
- また比肩、劫財が多く財を奪い合う様相ですが、これを「比劫争財」と言います。
- 原書には、「本命は孤貧にて目を損ずる」とあります。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
乙(食神)
|
癸
|
丁(偏財)
|
甲(傷官)
|
卯
|
卯
|
卯
|
寅
|
(木)
|
(木)
|
(木)
|
(木、火)
|
- 木:天干に乙、甲、 地支に4コ + 月令 =>最強
- 火:天干に丁、 地支に1コ
- 土:天干になし、 地支になし
- 金:天干になし、 地支になし
- 水:天干に癸、 地支になし =>弱
- 日主の癸水に根がなく、我が身は弱い。
- この命式の一番強い五行は木です。
- 我が身の癸水を扶助する金もなく、漏らす木が最強ですので従児格となります。
- 原書には、「この命は女命であり、大運が金運に入り破格して死去した」とあります。
- 従児格とは、我が身を漏らす木が大変強く片寄っており、片寄ったまま鑑定を行います。
この場合、木を剋す金が、この命式の忌神となります。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
辛(偏印)
|
癸
|
甲(傷官)
|
丁(偏財)
|
酉
|
亥
|
辰
|
酉
|
(金)
|
(水、木)
|
(木、水、土)
|
(金)
|
- 木:天干に甲、 地支に根が2コ
- 火:天干に丁、 地支になし
- 土:天干になし、 地支に1コ
- 金:天干に辛、 地支に根が2コ
- 水:天干に癸、 地支に根が2コ
- 日主の癸水に根が2コあります。
- 我が身の癸水を扶助する辛金も根が2つあり、我が身は身強です。
- しかし、甲木も強く、甲木が燃えて丁火の勢いを強くします。
- 従って、我が身の癸水を扶助する金が喜神となります。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
辛(偏印)
|
癸
|
辛(偏印)
|
庚(印綬)
|
酉
|
酉
|
巳
|
子
|
(金)
|
(金)
|
(火、金)
|
(水)
|
- 木:天干になし、 地支になし
- 火:天干になし、 地支に1コ
- 土:天干になし、 地支になし
- 金:天干に辛、辛、庚、 地支に根が3コ =>最強
- 水:天干に癸、 地支に根が1コ
- 日主の癸水に根が1コあります。
- この命式の一番強い五行は金です。
- 夏の巳月ですが、火が天干になく、これだけ金が旺じていれば、「金寒水冷」と言って寒々とした命式となります。
- 従って、本命式には、暖かい火が喜神となります。
- 原書には、「本命は、大運が丙―戊の時、中国の皇帝になった」とあります。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
甲(傷官)
|
癸
|
丙(正財)
|
壬(劫財)
|
寅
|
巳
|
午
|
午
|
(木、火)
|
(火、金)
|
(火)
|
(火)
|
- 木:天干に甲、 地支に根が1コ
- 火:天干に丙、 地支に根が4コ =>最強
- 土:天干になし、 地支になし
- 金:天干になし、 地支に1コ
- 水:天干に癸、壬、地支になし
- 日主の癸水に根がありません。
- この命式の一番強い五行は火です。
- 我が身の癸水を扶助する金がなく、火が最強ですので、「従財格」と言って財に従う命式となります。
- 従って、本命式は、片寄った火を特徴として片寄ったまま鑑定します。
- 原書には、「本命は、巨万の富を得たが、大運が金、水の運の時、財を失った」とあります。
- つまり、従財格ですので財は得ることができますが、火を破る運が来た時に破格し大災難にあっということです。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
己(偏官)
|
癸
|
乙(食神)
|
辛(偏印)
|
未
|
未
|
未
|
未
|
(火、木、土)
|
(火、木、土)
|
(火、木、土)
|
(火、木、土)
|
- 木:天干に乙、 地支に根が4コ
- 火:天干になし、 地支に4コ
- 土:天干に己、 地支に根が4コ
- 金:天干に辛、 地支になし
- 水:天干に癸、 地支になし
- 日主の癸水に根がありません。
- この命式の一番強い五行は木と土で、いづれも我が身の癸水を漏らし、剋します。
- 従って、本命式は、我が身の癸水を扶助する金、水が喜神となります。
- 通変星では時上の偏官と、月上の食神が強い。
- 食神はこれだけ強ければ福の作用が失われ凶の傷官的作用になります。
- 偏官は、働き星です。
- 原書には、「本命は、女命であり、かなりの商売を営み、再婚したが2度めの夫も家出した」とあります。
- つまり、傷官の作用が強く影響したということです。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
癸(比肩)
|
癸
|
戊(正官)
|
壬(劫財)
|
亥
|
亥
|
申
|
申
|
(水、木)
|
(水、木)
|
(金、水)
|
(金、水)
|
- 木:天干になし、 地支に2コ
- 火:天干になし、 地支になし
- 土:天干に戊、 地支になし
- 金:天干になし、 地支に2コ
- 水:天干に癸、癸、壬 地支に根が4コ =>最強
- 日主の癸水に根が4コあります。
- 五行の強さだけから見れば、「潤下格」になりそうですが、戊土が天干にあるため「潤下格」にはなりません。
- 従って、本命式は、我が身の癸水が強いだけの命式となります。
- 強すぎる水を制する、火、土が本命式の喜神となります。
- 原書には、「本命は身が旺じよるところがない、寿命が長いだけである」とあります。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
庚(印綬)
|
癸
|
乙(食神)
|
庚(印綬)
|
−
|
−
|
金化干合
乙->辛に変化する
|
申
|
卯
|
酉
|
辰
|
(金、水)
|
(木)
|
(金)
|
(木、水、土)
|
- 木:天干に乙、 地支に根が2コ
- 火:天干になし、 地支になし
- 土:天干になし、 地支に1コ
- 金:天干に庚、庚、(辛) 地支に根が2コ + 月令=>最強
- 水:天干に癸、 地支に根が2コ
- 日主の癸水に根が2コあります。
- この命式の一番強い五行は金で、我が身の癸水を扶助します。
- 従って、本命式は、金の印星が強い、「印星大過」となります。
- 「印星大過」の命式は印星を制する財星(火)がこの命式の喜神となります。
- もう少し、平たく言えば印星というのは知恵の星ですが、大過すると考えてばかりいて実行力がない人となります。
そういった人は財すなわち妻が主権をとった方が家庭内はうまくいくということです。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
丙(正財)
|
癸
|
己(偏官)
|
乙(食神)
|
辰
|
丑
|
丑
|
丑
|
(木、水、土)
|
(水、金、土)
|
(水、金、土)
|
(水、金、土)
|
- 木:天干に乙、 地支に根が1コ
- 火:天干に丙、 地支になし
- 土:天干に己、 地支に根が4コ
- 金:天干になし、 地支に3コ
- 水:天干に癸、 地支に根が4コ
- 日主の癸水に根が4コあり、我が身は強い。
- 一方、水を剋す己土も同じく根が4コあり、強い。
- 寒い丑月ですので、時上の丙火があることを喜びます。
- 通変星では、丙火の財星と己土の官星があるので、出世することができます。