戊土:寅、卯月生まれ
- 季節と調候
春は木気が盛んな季節で、戊土は生気が弱くて余寒が残存しています。
丙火が無ければ寒土では万物を生ずる事が不能であります。
故に丙火の太陽があって寒土を解き、我が身を生ずる事を必要とします。
- 財官の用法
戊土は山岳の強い燥土ですからそれ自体では霊(生物)を宿すことができません。
丙火(偏印)があって日干の戊土が強ければ甲木(偏官)の疏土(そど=土を切り開くの意)を求めます。
甲木が無ければ禿山であり乾燥した大地で霊がなくて困ります、そこで生物である甲木が生えていれば良いのです。
乙木では強い戊土を疎土(そど)する力が弱いので頼りになりません。
甲木が育つには癸水(正財)の滋潤が必要です。癸水は財星でありますから、癸水が無いと言うことは財縁が薄い事になります。
従って寅卯月は、調候と印星である処の丙火を先に用いて甲木と癸水を次とします。
甲木と癸水のみがあって丙火がない命は、富貴を得るためには人以上の苦労が必要となります。
又、命式に火が旺じ水がないと一生苦労のみで功を得ることができません。
戊土:辰月生まれ
- 季節と調候
春の辰月は晩春で、山岳の強い燥土である戊土が月令を得て旺じている季節です。
既に寒気は除かれていますので、必ずしも調候として丙火を必要とはしません。
- 財官の用法
戊土は山岳の強い燥土ですからそれ自体では霊(生物)を宿すことができません。
辰月は戊土が大変旺じて厚土(こうど)となっています。
故に、甲木(偏官)が在って厚土を疏土(そど=土を切り開くの意)しなくてはなりません。
甲木が無ければ土に霊(生物)がなく、禿山であり乾燥した大地では困ります。
そこで生物である甲木が生えていれば良いのです。
又、甲木は水が無いと育ちませんので癸水(正財)の滋潤を求めます。
辰月は戊土の日干が旺じて身強となりますので、先に甲木(偏官)で疏土でするのです。
従って天干に癸水の財星で以って偏官を生ずる命を上格とします。
戊土:巳月生まれ
- 気候と調候
巳月の戊土は丙火と戊土が月令において建禄となり旺じます。
戊土は重厚な土となり、更に夏月ですから火炎が旺じて土が乾く恐れがあります。
「火炎土燥」となるのを防ぐために癸水の配合を求めます。
- 財官の用法
日干の戊土は旺じていますので、先に甲木(偏官)を用いて土を疏土(そど=土を切り開くの意)する必要があります。
夏月は丙火(偏印)が旺ずる気候ですので、甲木が焚木(ふんぼく)となるのを防ぐために癸水を以って甲木を補佐する必要があります。
巳月は火炎を恐れず、甲木の偏官を主として癸水の滋潤を以って用神とします。
甲木と丙火の透干を見て地支に癸水を蔵する命でバランスが良ければ発展いたします。
丙火と癸水が透干して横に並んで妨害せず、官印の配合バランスが良ければ発展ができます。
戊土:午月生まれ
- 季節と調候
午月は火の気勢がますます旺ずる季節となりますので、土は乾き「火炎土燥」となります。
午月の病(やまい)は火炎にあります。
従ってまず解炎することを以って重要としますので、癸水よりも壬水の「薬」を以って真神とします。
癸水ではその力が弱くその作用はなかなか働きません。
- 財官の用法
午月は先に壬水(偏財)を用いて、次に甲木(偏官)を取用します。
壬水が無ければ甲木は焚木となり、其の役目を失います。
午月は壬水があってこそ甲木を用いることが出来ます。
壬水(財星)と甲木(官星)が天干に並び見る命式は、権力と地位が得られる人となります。
身強の命は庚金(食神)へ洩らすよりも、甲木の官星で制土する方が上格です。
天干に戊己土が透干していれば用神の壬癸水を傷めますので財縁が薄くなり、官星の甲木が育ちません。
戊土:未月生まれ
- 季節と調候
午未月の戊土は「火炎土燥」となっています。
未月は大暑前(7/23)と大暑後は同じではありません。大暑前は午月に準じます。
未月は燥土が旺ずる季節となり病は燥土にありますから癸水を以って土の乾きを防ぎます。
- 財官の用法
未月は土が旺ずる季節ですので、甲木の疏土(そど=土を切り開くの意)を以って貴と致します。
即ち、旺ずる土は官星を持って制する事を第一とします。
季節は夏でありますから、甲木を生扶する水が無ければ、木性は焚木(ふんぼく)の象となりその力が発揮できません。
故に未月の戊土は先に癸水(正財)を必要とします。壬水でも可能です。
未月の下半月は残暑は厳しいが朝夕はチョッピリ涼しくなってくるので太陽の丙も必要となります。
丙火を用いる場合は先に癸水があることが条件となります。
癸水と丙火が天干に離れて透干しておれば、自然と権力と地位が得られる人となります。
癸水と甲木が透干して丙火が無くとも相当の地位を得ることが出来ます。
命式に癸水、甲木、丙火が共に無い命式は平庸の人物となり発展することはありません。
癸水だけで甲木がない人は、癸水の財星を用いることになりますので多少の財産を得ることができます。
戊土:申月生まれ
- 季節と調候
申月の戊土は陽気が徐々に衰退して寒気が出てくる季節です。
戊土は申月に在っては洩気となり寒が進みます。
故に丙火の照暖(しょうだん)を先に用います。
丙火を用いれば燥土となり易いので後に癸水を取用します。
- 財官の用法
丙火が在って身強であれば癸水(財星)を用いて弱い甲木の官星を扶けます。
命式に土が多くあれば土が滞りますから甲木を用いて土を制する必要があります。
命式に丙火(印星)、甲木(官星)、癸水(財星)が天干にあるとこれを「三貴格」といって自然と富貴を得ることができます。
癸水が地支にあって丙火が天干にある命式は、財星と印星が相剋しない命式ですから相当に地位があがります。
癸水(正財)と甲木(偏官)が無い命造は凡人であります。
戊土:酉月生まれ
- 季節と調候
酉月の戊土は金気が旺じ寒気も進む季節です。
酉月は戊土の生気を辛金に洩らしますので土は洩弱(ろうじゃく)となっています。
寒気を抑え我が身を生扶する丙火を先に求めます。
酉月は丙丁火の印星を用としますので、土が燥となりやすいので癸水の滋潤を求めます。
- 財官印の用法
金は寒を生じますので丙火の印星を用いて暖を取り、我が身を扶けます。
しかし燥土は金を生じることができませんので、癸水で土を湿らすことが必要になります。
つまり、酉月は先に丙火を用いて後から癸水を用います。
酉月は土の生気を金に洩らしますので、甲木(官星)の制を必ずしも必要としません。
命式において丙火(印星)と癸水(財星)が天干にあれば、我が身は印星の扶助を得て旺じます。
さらに月令の辛金(傷官)をもって財星を生ずることを用となすならば「傷官生財」となって五行の気が流動し必ず発展する人です。
また丙火が天干にあって癸水を蔵する命式は富貴を多少得ることができます。
戊土:戌月生まれ
- 季節と調候
戌月は戊土が月令を得て旺じます(土は土を見れば旺ずる)。
戌の蔵干には丁火を含んでいますので、調候である丙火を先に取用する必要はありません。
先に甲木を用いて後に癸水を用いるのです。
- 財官の用法
戌月は土が旺ずる季節ですので戊土は身強となっています。
日干が強ければ剋するか洩らすかが必要です。
この場合は甲木の官星を以って制するを上格としますので、先に甲木を求めます。
甲木の疏土(そど=土を切り開くの意)を以って貴と致します。
甲木は燥土(そうど)の候(季節)には水が無く弱いので、乾いた土を湿らす癸水(正財)を必要とします。
癸水が有れば甲木は水気を得て勢いが出てきます。
丙火(偏印)と癸水(正財)が無く、甲木のみある命は孤官(孤独の官星)に扶けが無いために名利が共に欠ける事となります。
金気(食傷)が強い場合は、戊土の気を洩らしますので、甲木は不要になります。
剋と洩気の両方を使うことは我が身の日干が衰弱しますので用いる事ができません。
金気が強い場合は、土−金−水と水気を使えば気が流動するのでこれを良好とします。
我が身が弱くなるようでしたら丙火を使って我が身を扶助するのが良い。
戊土:亥月生まれ
- 季節と調候
戊土の亥月は冬の季節で土は寒土となっています。寒土では万物を生ずることが不能であります。
故に丙火(太陽)で以って戊土を暖める必要があります。
但し、冬の丙火は絶地となり弱いので甲木で扶けるを喜びとします。
- 財官の用法
亥月は甲木(偏官)が長生となり、そして壬水の偏財は建禄を得ています、月令の蔵干には甲木がある、従って丙火が透干しているならば貴命となります。
そして土気が強くなれば固くなった土を柔らかくするために甲木(偏官)を使います。
- 印と官
亥月の戊土は甲木と丙火が最も必要な星となりますのでこれを傷つけてはいけまません。
亥月の戊土は用神を甲丙に求め、丁火と戊土を補佐とします。
亥月に於いては壬水(偏財)が旺じる季節ですから、壬水が天干にあれば、丙火の火を損傷することになります。
従って戊土を使って壬水を制し丙火を救う必要があります。
庚金があれば丁火で制するならば異途において発展する事が出来ます。
戊土:子丑月生まれ
- 季節と調候
子、丑月生まれは寒気が厳しく凍結する恐れがあります。
従って、調候である丙火(太陽)の照暖を急ぎ求めます。
そして甲木をその補佐として冬の弱い丙火を扶けます。
- 印と官
我が身が強くて丙火と甲木が天干にあって大運にて旺ずれば富貴を得ることができます。
丙火があって甲木の無い命は家は富むかもしれませんが、官星がないので「貴」を得ることができません。
甲木があって丙火の無い命式は貴はあるが「財」がない清く貧しい人となります。
丙火と甲木の両方が無い命式は下賎の格(心が卑しく行動力もない)となります。
時
|
日
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月
|
年
|
戊(比肩)
|
戊
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甲(偏官)
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戊(比肩)
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午
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戌
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寅
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辰
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3局火化
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−
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(火)
|
(金、火、土)
|
(木、火)
|
(木、水、土)
|
- 木:天干に甲、 地支に根が2コ
- 火:天干になし、 地支に2コ
- 土:天干に戊、戊、戊 地支に根が2コ
- 金:天干になし、 地支に1コ
- 水:天干になし、 地支に1コ
- 日主の戊に根が2コあり、比肩もあるので我が身の戊が最強です。
- 我が身を制する甲木も月上にあり根が2コあります。
- 甲木は戊土に霊を宿す重要な役割がありますが、命式の天干に水がありません。
- さらに地支は3局火化しており、我が身の戊土は極度に乾燥してしまいます。
->火炎土燥 と言います。
- 従って甲木が生きていくためには水が必要となります。
- 大運に水が巡ってきた時が、吉運となります。
- 原書には、腎臓が弱いとあります。 腎臓=水 ですから命式の水不足がこういった形で現れているのでしょう。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
甲(偏官)
|
戊
|
戊(比肩)
|
己(敗財)
|
寅
|
寅
|
辰
|
未
|
(木、火)
|
(木、火)
|
(木、水、土)
|
(火、木、土)
|
- 木:天干に甲、 地支に根が4コ
- 火:天干になし、 地支に3コ
- 土:天干に戊、戊、己 地支に根が2コ + 月令
- 金:天干になし、 地支になし
- 水:天干になし、 地支に1コ
- 日主の戊に根が2コあり、月令も得ているので我が身の戊土が最強です。
- 我が身を制する甲木も時上にあり根が4コあり強い。
- 我が身が旺じすぎていますので、戊土を制する甲木と甲木を生じる水が喜神となります。
- 従って大運に、水、木が巡ってきた時が、吉運となります。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
丙(偏印)
|
戊
|
丙(偏印)
|
丁(印綬)
|
辰
|
寅
|
午
|
丑
|
(木、水、土)
|
(木、火)
|
(火)
|
(水、金、土)
|
- 木:天干になし、 地支に2コ
- 火:天干に丙、丙、丁 地支に根が2コ + 月令 => 最強
- 土:天干に戊、 地支に根が2コ
- 金:天干になし、 地支に1コ
- 水:天干になし、 地支に2コ
- 日主の戊に根が2コあり身強です。
- しかし火が天干に3コ、地支に2コあり、さらに月令を得て最強です。
=>火炎土燥の命です。
- 火が旺じすぎていますので、火を制する水が喜神となります。
- 従って大運に、金、水が巡ってきた時が、吉運となります。
- 原書には、本命は盲目になったとありますが、火=眼ですので、旺じ過ぎている火がこのような形で現れたのでしょう。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
丁(印綬)
|
戊
|
癸(正財)
|
庚(食神)
|
巳
|
子
|
未
|
子
|
(火、金)
|
(水)
|
(火、木、土)
|
(水)
|
- 木:天干になし、 地支に1コ
- 火:天干に丁、 地支に根が2コ => 最強
- 土:天干に戊、 地支に根が1コ
- 金:天干に庚、 地支に根が1コ
- 水:天干に癸、 地支に根が2コ
- 日主の戊に根が1コあります。 土を扶助する火も最強です。
- しかし金と水も強く、土->金->水 と我が身の戊土の気を漏らします。
特に癸水(土から見れば水は財星)に根が2コあり、本命は、身弱財大過となります。
- 従って我が身の土を扶助する、火が喜神となります。
- 従って大運に、火、土が巡ってきた時が、吉運となります。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
丙(偏印)
|
戊
|
己(敗財)
|
戊(比肩)
|
辰
|
戌
|
未
|
戌
|
(木、水、土)
|
(金、火、土)
|
(火、木、土)
|
(金、火、土)
|
- 木:天干になし、 地支に2コ
- 火:天干に丙、 地支に根が3コ
- 土:天干に戊、戊、己 地支に根が4コ
- 金:天干になし、 地支に2コ
- 水:天干になし、 地支に1コ
- 日主の戊に根が4コあり、身強です。
- さらに、戊が年上、己が月上にあり、時上の丙火は土を生じます。
- つまり命式の五行は土の五行だけが特別に強いことになります。
=>一行得気格となり、稼穡格となります。
- 従って、片寄った土の五行を片寄ったまま鑑定するということになります。
- 一行得気格は貴命と市販の書籍には良く書かれてありますが、生涯の大運で土を制する水運が巡ってくれば破格となり大災難となります。
- 原書には、本命は癸―亥運で死亡したとあります。
つまり破格したわけです。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
丙(偏印)
|
戊
|
丙(偏印)
|
辛(傷官)
|
辰
|
子
|
申
|
酉
|
3局水化
|
−
|
(木、水、土)
|
(水)
|
(金、水)
|
(金)
|
- 木:天干になし、 地支に1コ
- 火:天干に丙、丙 地支に根がなし
- 土:天干に戊、 地支に根が1コ
- 金:天干に辛、 地支に2コ => 強
- 水:天干になし、 地支に3コ
- 日主の戊に根が1コあります。
- 我が身の土を生じる火は天干に2コありますが根がなく弱い。
- 我が身の土気を漏らす金は根が2コあり強い。
- さらに、天干の5行には水がありませんが地支が3局木化しています。
土->金->水と五行が流れ我が身の土気は漏れるばかりです。
- 従って、我が身を扶助する火が喜神となります。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
壬(偏財)
|
戊
|
辛(傷官)
|
戊(比肩)
|
子
|
子
|
酉
|
子
|
(水)
|
(水)
|
(金)
|
(水)
|
- 木:天干になし、 地支になし
- 火:天干になし、 地支になし
- 土:天干に戊、戊、地支に根がなし
- 金:天干に辛、 地支に根が1コ + 月令
- 水:天干に壬、 地支に根が3コ => 最強
- 日主の戊に根がなく、身弱です。
- さらに、水が最強ですので、我が身の土気は漏れるばかりです。
- 従って、我が身の戊土を扶助する、火、土が喜神となります。
- 我が身をこれ以上弱らせる、木、金、水が忌神となります。
- 外格?
- 本命は、水が最強で財が旺じますので 外格の従財格になるかもしれません。
- その場合は、吉凶が内格の場合と逆になります。
- つまり財に従えという鑑定の仕方になり、水が喜神となります。
- どちらが正しいかは、本人に水運の時が、吉だったのか、凶だったのか確認するしかありません。
=>こういった微妙な判断をするためには、やはり問診が必須です。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
庚(食神)
|
戊
|
辛(傷官)
|
壬(偏財)
|
申
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寅
|
亥
|
申
|
冲
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−
|
−
|
(金、水)
|
(木、火)
|
(水、木)
|
(金、水)
|
- 木:天干になし、 地支に2コ
- 火:天干になし、 地支に1コ
- 土:天干に戊、 地支に根がなし
- 金:天干に庚、辛、地支に根が2コ(1コ冲)
- 水:天干に壬、 地支に根が3コ(1コ冲)
- 日主の戊に根がなく、身弱です。
- さらに、金気が強く、我が身の戊の気を金に漏らします。
- 水気も強く、土->金->水 と五行が周流し、我が身の土は漏れるばかりです。
- 従って我が身の土を漏らす、金を制する火が大運に巡ってくれば、金を制し、さらに火が土を生じますので吉運となります。
- 原書には、本命丁―未、丙―午 運に入り発展したとあります。
つまり 火運が金を制したので吉運になったということです。
例題
時
|
日
|
月
|
年
|
癸(正財)
|
戊
|
辛(傷官)
|
丙(偏印)
|
−
|
−
|
水化干合
=>月令を得ておらず無作用
|
丑
|
子
|
丑
|
子
|
合
|
合
|
(水、金、土)
|
(水)
|
(水、金、土)
|
(水)
|
- 木:天干になし、 地支になし
- 火:天干に丙、 地支に根がなし
- 土:天干に戊、 地支に根が2コ
- 金:天干に辛、 地支に根が2コ
- 水:天干に癸、 地支に根が4コ
- まず、地支が全部、支合の作用により根としての作用を失います。
- 月上の辛と年上の丙が合していますが、月令を得ておらず変化しません。
月―年の合で月令を得ていない場合は、この天干は無作用とします。
- 残ったのは日主の戊土と年上の癸だけとなります。
- 寒い厳寒の丑月ですので、太陽の丙火が喜神となります。